2024年は、株式市場を見ると、2月には日経平均がバブル後最高値を記録したかと思えば、8月にはブラックマンデーを上回る大暴落が起きたり、一方、生成AIブームが続いていたりと、とにかく大きな出来事が多い一年でした。また、新NISAがスタートしたこともあり、本格的な資産運用元年となったという意見もあります。こうした一連の出来事をきっかけに、個人投資に興味をもちはじめたという方も多いかもしれません。
不安定な世界情勢や将来のことを考えて、早い段階から資産運用に関して情報を集めて、行動に移すという意識が、若い世代ほど顕著になってきているとも言われています。とはいえ、投資と一言にいっても、株取引や不動産、HFMに代表されるようなFX取引をはじめ、その種類も銘柄もさまざまです。ビギナーの方であれば、具体的にどのような方法で運用するべきか、迷ってしまうのも無理ありませんよね。
ここでは、そうした、これから投資をはじめてみようというビギナーの方にもわかりやすいように、まずは投資の種類について説明していきたいと思います。
投資の基本
将来に向けての資産形成について考える際に、その方法としてまず挙げられるのが「預金」と「投資」という2つです。
預金とは、皆さんご存知のように、銀行や信用金庫などの金融機関にお金を預けることを指しています。これに対し、投資とは株式や投資信託などに代表されるように、利益を期待してお金を出す、あるいは売買などの取引を行うことを指しています。
そして、この投資によって得られる収益には大きく分けて「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、ある資産を保有している間に得られる収益を指します。このインカムゲインに該当する投資の収益としては、株式の配当金や債券の利子、投資信託の収益分配金、不動産投資の家賃収入などが挙げられます。
キャピタルゲイン
インカムゲインに対し、キャピタルゲインとは、保有する資産の売却によって得られる売買差益(譲渡益)のことを指しています。
つまり、例えば、あなたが購入した株式や土地が、買った時よりも値上がりした場合、売却価格と購入価格との差額がキャピタルゲインになるのです。具体的に説明すると、100万円で購入した株式を110万円で売却した場合、10万円がキャピタルゲインとなるわけです。
ちなみに、キャピタルゲインとは逆に、売却価格が購入価格を下回った場合には、キャピタルロスという損失が発生することになります。
リスクとリターン
どんな投資方法を選ぶにせよ、投資をはじめる際にまず必ず理解しておきたいのが、リスクとリターンの関係です。
「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、投資の世界ではリスクとリターンという考え方は避けて通れません。
リスクと聞くと、一般的に使われている「危険」という意味を思い浮かべてしまいがちです。これが原因で「投資は不安…」と、まだ踏み切れない方も多いかと思います。
ですが、投資の世界においては、リスクとはリターンの振れ幅(不確実性)のことを指しています。リターンの振れ幅が小さいことを「リスクが低い」といい、反対に振れ幅が大きいことを「リスクが高い」と表現します。
このリスクとリターンのバランスは、投資する商品によって異なってきます。例えば、値動きが激しい商品の場合、大きく値上がりしたタイミングで売却すれば大きな利益が期待できますが、タイミングが悪ければ価値が下落したときに売却することになり、損失を被る可能性もあるのです。つまり、リスクが高いことは危険と表現するよりは、リターンの振れ幅が大きいと捉える方が適切といえるのです。
また、投資商品を選ぶ時にも、その商品のリスクとリターンの大きさは重要な選択基準になってきます。
投資の種類
それでは、実際にどんな投資の種類があるのか、代表的なものを見ていきましょう。
株式
多くの人が『投資』と聞いて、すぐにイメージするのが株なのではないでしょうか。
株式投資とは、企業が発行する株式を取得し、配当や売却益を得る投資手法のことです。株価は各企業の業績や社会情勢、投資家の売買状況などによって常に変動しています。取得時の株価はもちろんのこと、保有期間中の値動きに関しても、銘柄ごとに大きく異なるのが特徴です。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用し、利益を分配する仕組みの商品です。こうした投資信託は、国内外の株式や債券などで構成されており、銘柄によって投資対象や組み合わせが異なります。
株式や債券に直接投資する場合、個人だと多額の資金が必要となってくるため、一般の人にはハードルが高かったりします。ですが、投資信託の場合、多数の投資家から資金を集めるため、一人ひとりは少額の資金から幅広く分散投資が可能となってきます。このように、分散投資によりリスクを抑えつつ効率的に利益を狙えるというのが、投資信託の大きな特徴となっています。
FX
FXとは『Foreign Exchange』の略で、外国為替証拠金取引のことを指しており、つまり、外貨の売買によって差益を得ることを目指す取引です。
ほかの投資手法と大きく異なる特徴としてしばしば挙げられるのが、FXでは証拠金(保証金)を預け入れることで、その何倍もの金額で取引できる「レバレッジ」という仕組みが利用できる点です。これは、資金が限られている場合でも大きな取引ができることから、資産を大幅に増やせる可能性があります。
その一方で、証拠金以上の損失を被るリスクもあることから、ハイリスク・ハイリターンの投資方法であるとも言われています。
先物取引
先物取引とは、将来の特定の時期にあらかじめ決めておいた価格で資産を売買する契約のことです。例えば、10万円で購入することを約束した商品が、将来的に20万円の価値で取引されるようになれば、その差額で利益を得られます。事前に価格を決めておけるため、価格変動に左右されにくい点が特徴となっています。その一方で、契約した価格よりも実際の取引価格が大きく下落した場合には、損失を被るリスクもあります。